松永天馬×広瀬犬山猫 最終回

2014年01月08日 22:00

-第1回-  -第2回-

第1回 第2回に引き続き今回は最終回!
私、広瀬犬山猫松永天馬氏と特別対談が完結です。
 
※画像はイメージです (C)Nintendo
 
松永天馬(左) 1982年 東京生まれ
トラウマテクノポップバンド「アーバンギャルド」のリーダー。
ゲームに関しては素人。
(公式サイト:https://urbangarde.net/
 
広瀬犬山猫(右) 1982年 群馬県生まれ
フリーゲーム「ソーサリーペドファイル(以下ソサペド)作者。本職もゲームクリエイター。
音楽に関しては素人。
 
※各人の詳細なプロフィールは第1回の記事をご覧ください。
 
 
広瀬犬山猫(以下犬山猫)
第2回のインターネットの話題でも触れた「共感」の話に戻るけど
前に読んだインタビュー記事で、アーバンギャルド
JPOPに多い「共感型」ではなく、「指摘型」のバンドなんだって話に
僕はものすごく「共感」した!(ややこしい)
 
松永天馬(以下天馬)
ええと、それは、「病めるアイドル」のプロモーションの時のインタビューかな?
僕自身はメンヘラじゃないから、手首も切らないし薬も飲んでない。
だけど、指摘は出来る……っていう。
 
「病めるアイドル」では現代のアイドルブームをシニカルにポップにゾンビ化。
PV(プロパガンダヴィデヲ)では天馬の股間(ファルス!)と、よこたんの笑顔(レアです)が話題に。
 
 
犬山猫:
「病めるアイドル」メタな歌詞も面白かったけど
「傷だらけのマリア」に至っては、ストレートな指摘すぎて、僕はもうゲラゲラ笑っちゃってw
「普通の女の子だから 普通になりたくない」「個性的な女の子は、こんな音楽聴かない」ってもうwww
 
 
「傷だらけのマリア」はインディーズ時代最後のシングル。
あざといほどの痛さとキモさ(褒め言葉)は1つの集大成をなした。
「公式が病気」は賛辞である。惨事ではない。
 
 
天馬:
メンヘラの人は自覚がないんだよね、それに指摘されると喜ぶ。
 
犬山猫:
自己批判しろ!ってか(笑)
受け身というかM体質の人が多いのかな?
 
※「自己批判しろ」は「修正主義者」のサビの歌詞。
 浜崎容子参加後初のシングルは現在絶版で
 新しいファンからすれば垂涎モノ。
 
 
犬山猫:
それにしても、「指摘」ってホントにイイネ!(褒め殺し)
「共感」だと、あくまで「その気持ちわかる~」っていうだけで
その歌詞を聞く前から、すでに持っていた気持ちなわけで何も成長はないけど
「指摘」は、それを受けることによって、リスナーは新しい自分の気持ちに気づくよね。
これって、JPOPにありがちな共感型よりも、更に次元の高い作用じゃないかと思ってる。
 
天馬:
まったく、その通り!
 
犬山猫:
メジャーデビュー後のアーバンギャルドのキーワードとして上がってきてる
「サブカル」とか「カウンターカルチャー」については、どういう思いが?
 
メジャーデビュー2年目の2012年、アーバンギャルドは
シングル「さよならサブカルチャー」やアルバム「ガイガーカウンターカルチャー」で
カウンターカルチャーのバンドとしての路線を前面に押し出した。
筆者は「さよならサブカルチャー」の曲だけでなくPVも特に好きです。
 
 
天馬:
さっき話したみたいに、インターネットが発達して
サブカルとされてたマイナーなジャンルの情報もどんどん拡散されるようになって
やがて権威化してきてるんですよね。
バンドの方が偉い、アイドルの方が偉い、アングラの方が偉いとか、おかしな現象が起こる。
 
犬山猫:
「サブ」なはずなのに権威になってちゃ、矛盾してるよね。
そういったカルチャーの抱える変遷や矛盾に対する指摘を行うのが
アーバンギャルドの「カウンターカルチャー」ってことなのかな?(諸説あります)
 
今回は突っ込みませんがゲーム業界にも権威化したものはあるわけで……
画像はイメージです、イメージですってば!
 
犬山猫:
僕も「カウンターカルチャー」って考え方は好きで、メタ好きともいうかな?
ソサペドでは、「勇者が魔王を倒す」という
RPGではお約束とされた伝統文化(カルチャー)を前提にしておいてから、
「勇者」「魔王」といった象徴化されてる存在
新しい解釈や展開を突きつけて、物語を盛り上げようと試みたり
そもそもの物語、すなわち「フィクション」という概念にも定義から切り込んでみたり
(以下ものすごくゲームシナリオのネタバレ解説が続くので略)……というね、
ありがちなメタだとは思うけれど
 
勇者や魔王をメタに扱ったゲームも少なくないけど
「ソサペド」でも独自解釈が物語のクライマックスで炸裂します!
 
天馬:
いやいや、メタで良いと思う。
犯人はヤス!ってね(笑)
 
アーバンギャルドも色んなキーワードで曲作りをしてるけど
当初からずっと共通で貫いているテーマとしては
「都市」「少女」「病気」がある。これは絶対に崩れない三本柱。
 
犬山猫:
ほうほう。
 
天馬:
都市という情報が高度に充満している世界で暮らす少女たちは
その情報の波にのまれて、病んでいってしまうんだよね。
 
犬山猫:
情報から身を守るために武装をしたりとか?(女の子戦争)
 
 
天馬:
最近は「アイドル」と呼ばれる存在の少女たちが飽和状態にあるって思う。
「アイドル」って名乗るだけでもう、アイドルになれちゃうような時代でハードルが低い。
地下アイドルだったり、ニコニコの生主であるとか、もう誰でもなれる。
そして、今の少女たちは、自らの若さや肉体が「消費」されるものだということを自覚している。
握手会であるとか、制服のような衣装であるとか、今のアイドルの売り方が、少女の消費という構図を
如実に示しているように思う。これは病気だね。
 
アイドルブームは80年代にもあったけど、あの頃のアイドルは「消費」はされてたとしても
「消費」されてると言う感じをあまり出してなかったし、当の少女自身もその自覚はなかったように思う。
アイドルは憧れの高嶺の花みたいなね。
 
犬山猫:
なるほど……そしたら「少女が消費される」っていうのが
アーバンギャルドの次のキーワードになるかもしれないってこと?
 
天馬:
なるかもしれません。
 
※なるかもしれないだけだからね!ねっねっ!
 
犬山猫:
それは楽しみです!
……時間ですね。この度は面白い話をありがとう!
今後の活躍も期待してます!
 
天馬:
こちらこそ、ありがとう!
2014年は春からまたライブやるから、遊びに来てよ!
 
公式サイトやアーティスト写真も2014年体制に一新。
アーバンギャルドの活躍には今後も目が離せない。
 
 
最終回 -天馬博士の無慈悲な診断 都市の少女の新たな病気-
 -了-
 
対談後、外に出ると土砂降りの雨……
 
犬山猫:
降ってるね……「土砂降りの雨のニュース」ですよw
僕、「ラヴクラフトの世界」も好きで。
 
 
天馬:
ありがとうございます!
 
犬山猫:
ソサペドでも「ラヴクラフト」って魔法の呪文があって
「愛を創造する」って意味合いからMPを与える効果なんだけど。
他にも色々なクトゥルフ神話のネタを盛り込んだよ。
 
ソサペドのリーナが操る闇魔法はクトゥルフ神話ネタだらけ。
なぜクトゥルフなのかも一応、設定あります。
 
天馬:
ゲーム内で伝承や神話を引用するのって、どんな意味があるの?
 
「女神転生」シリーズの「悪魔」のほとんどは
既存の伝説や伝承からの引用であり、それが魅力の1つでもある。
 
犬山猫:
引用は、元ネタが解る人には説明なしでイメージを伝える効果がある。
「サラマンダー」とか「フランベルジュ」とか言えば、火の属性だ!って。
その、元ネタが解ったお客さんは「俺知ってるぜ」って優越感にも浸れる。
世界背景も勝手に深めてくれる。文学的には歌枕季語に近い気もするね。
 
天馬:
なるほどねえ。
 
※数々の神話や伝承をごった煮で引用し肥大化している
 ゲームのファンタジー世界は、電脳世界におけるクトゥルフ神話なのかもしれない。
 
オマケ -引用と肥大のアップデート。名伏しがたき幻夢(GAME)神話-
 -了-
 
   ※犬山猫のひとりごと
 
以上、長々とお付き合いいただきありがとうございました。
完全なオフ日もない忙しい中、時間を作ってくれた松永天馬くんにも大感謝です。
 
アーバンギャルドに興味のある読者さん、ゲームに興味のある読者さん
それぞれかとは思いますが、お楽しみいただけたなら幸いです。
 
そして、宣伝のためのサイトですので最後は宣伝です。
今後とも「ソーサリーペドファイル」「アーバンギャルド」をよろしくお願いいたします。
 
 
-天馬と犬山猫は少女と魔法の幻夢(GAME)を見るか?-
-おしまい-
 
※この記事は、松永天馬氏との対談を元に読み物として再構成したものです。
(話題はそのままに、ちょっと盛ったり並び替えたり……) 
全面的な文責は当サイト管理人・広瀬犬山猫にあります。
 

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