松永天馬×広瀬犬山猫 第2回
 
         
            2013年12月28日 22:00    
            									
            
	 
	
	 
	 
	 
	 
	 
	
		
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
			 
		
			 
		
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
		 
	
		 
	
		 
	
		
	
		 
	
	
		 
	
	 
	

	 
	 
	 
	 
	 
	 
	 
	 
	
		 
	
	 
	 
	 
	
		 
	
		
	
		 
	
	
	
		 
	
		 
	
	
		 
	
	
		 
	
		 
	
	 
            					
            
            
            
		
		      
                      
              			
            
            
                    
          
          
        

	第1回に引き続き、私、広瀬犬山猫と松永天馬氏との
	特別対談の模様をお送りします。
	※画像はイメージです (C)Nintendo
	松永天馬(右) 1982年 東京生まれ
	広瀬犬山猫(左) 1982年 群馬県生まれ
	フリーゲーム「ソーサリーペドファイル(以下ソサペド)」作者。本職もゲームクリエイター。
	音楽に関しては素人。
	※各人の詳細なプロフィールは前回の記事をご覧ください。
			松永天馬(以下天馬):
	
		このゲーム(ソサペド)は個人製作?
	
		※ゲーム「ソーサリーペドファイル」のエンディングテーマは
	
		アーバンギャルドの「四月戦争」だ。
	
		広瀬犬山猫(以下犬山猫):
	
		そう。画像や音楽は既存の素材だけど
	
		RPGツクール(2000)を使って、僕一人でシナリオや企画を全部やったよ。
	
		ロゴもフリーフォントとか使って自分で。
	
		天馬:
	
		僕はゲームは、ほとんどやらないんだよね。
	
		子供の時はスーファミのファイナルファンタジーくらいはやってたかな。
	
		FF4のゼロムスのバトルの背景が動いてたりとか
	
		FF6で容量が24メガとか、そんなレベルで当時は感動してたなあ。
	
		ファイナルファンタジー4はスーパーファミコン初のファイナルファンタジー。
	
		グラフィックと人間ドラマ推しの方針はさらに加速していく。
	
		犬山猫:
	
		今は24メガなんて、屁みたいなもんなのにね。
	
		天馬:
	
		絵が動いたとか、ポリゴンでムービーになったとか
	
		そういう技術の進歩の度に驚いたもんだけど、
	
		犬山猫くんは最新のゲームの映像とかで驚いたりはする?
	
		犬山猫:
	
		流石に今はもう、技術的な面で驚くようなことはなくなったかな。
	
		かなりリアルな表現ができるようになって久しいから。
	
		でも映画見るときみたいに演出が良くて、鳥肌が立つようなことならあるよ。
	
		後は、アドベンチャーゲームでシナリオが良かったとか。
	

		ファイルファンタジー7(1997年)のヒロイン(左)と、エンドオブエタニティ(2010年)のヒロイン(右)。
	
		15年前はプリレンダリングムービー(予め録画したムービー)でもローポリゴンだったが
	
		今はゲーム機やフレームワークの発達でリアルタイムでも複雑なモデルを自由に動かせる。
	

		「シュタインズゲート」(左)や、「ルートダブル -Before Crime * After Days-」(右)など
	
		近年のアドベンチャーゲームでは、緻密な科学考証に基づく設定を活かした物語がトレンドの1つだ。
	
		小説にはない映像と音声、映画にはないインタラクティブ性。「ゲームならでは」な特性は
	
		他のメディアでは没入しにくい複雑なシナリオでも、ユーザーがすんなり理解できる。
	
		天馬:
	
		今のゲーム業界は、スマートフォンのゲームが主流なの?
	
		僕も「ズーキーパー」ならやったことあるけど、
	
		「パズドラ」ってのが流行ってるんだっけ?
	

		いわゆる「ソーシャルゲーム」市場で、かつては「探検ドリランド」(左)タイプの
	
		収集&シンプルな探索&バトルのカードゲーム(ポチポチゲーと揶揄されることも)の天下だったが
	
		「パズル&ドラゴンズ」(右)のように、指先や頭を使うゲーム性を持ったタイトルが今や主流である。
	
		犬山猫:
	
		確かにパズドラが一番流行ってて、月商が億単位とかスゴイことになってるけど
	
		いわゆる、スマホのソーシャルゲームの流行りのピークは過ぎたと思う。
	
		今はもう新規参入は厳しい状況になってる。思ったより、バブルは早く弾けた。
	
		パズドラを筆頭にした、宣伝力とゲーム自体のクオリティの両方が揃ったプロダクトでないと
	
		お客さんも目が肥えてきてるし、もう集客できない。
	
		基本無料は企業体力ないと、かなり難しいジャンルになったね。
	
		グリーとか、かなり苦戦してるようだし。
	
		天馬:
	
		グリーって、まだあったの?任天堂は倒してないようだけど。
	
		犬山猫:
	
		あ、あ、あるよ!
	
		(あんまり危なっかしいことを言わせないでヨ)
	
		まあそう簡単に任天堂は倒れないだろうね……
	
		グリーは減益が大きくて、売れてないタイトルや海外拠点はクローズしたり
	
		希望退職者を募ったり、今は縮小方面で大変みたい。
	

		「任天堂の倒し方」発言の真偽は不明だが……祇園精舎の鐘の声。ゆく川の流れは絶えずして。
	
		「コンプリートガチャ」が違法となったことや、ブラウザ→ネイティブアプリへの移行の遅れ、
	
		様々な要因が推測されるが、ソーシャルゲーム市場の大きな過渡期の中で苦戦する会社は多い。
	
		天馬:
	
		どういう層が、ああいう携帯のゲームをやってるもんなの?
	
		犬山猫:
	
		やってるってだけなら、広い層がやってるけど
	
		課金までしてガッツリやるのは、主婦とか、学生とか、独身の会社員とか……
	
		重課金者で、ひきこもりみたいになっちゃうユーザーもいるとは聞くけど。
	
		天馬:
	
		ああ、暇な人たちか!
	
		犬山猫:
	
		そ、そ、そうとも言うかもしれない……
	
		(だから、危なっかしいことを言わせないでよ><)
	
		時間とお金に余裕がなければ、
	
		ソーシャルゲームはやりこめないことは確か。
	
		その一方で、面白いから課金したくなるような
	
		企画屋からみても良心的に思えるタイトルも増えてはいるけどね。
	
			天馬:
		
			それじゃ、最近耳にする「アイカツ!」ってのは何なの?
		
			アイカツおじさんとか聞くけど。
		
			犬山猫:
		
			子供向けのアミューズ筐体は詳しくないんだよなぁ……
		
			当然、やったこともないし。
		
			全く知らないんだけど、アイドル活動ってことだから……
		
			多分、アイドルの女の子のキャラで着せ替えとリズムゲーかな?
		
			で、コレクション要素としてカードが出てくる……のかな?
	
		で、女の子がカワイイから、一部のおじさんにも人気……かな?
	

		※だいたいあってた。
	
		天馬:
	
		まったく、色んなものがあるもんだ。
	
		基本無料アイテム課金のゲームと、
	
		パッケージ買ってガッツリ遊ぶ二極のように見えるけど
	
		ゲームをやるユーザーの方は何か変わってきてる?
	
		パッケージのゲームって、もうなくなっていっちゃうの?
	
		犬山猫:
	
		いわゆる、コアなユーザーさんは、
	
		アイテム課金にかなり抵抗のある人が以前は多かったけど
	
		今は、多少はその抵抗が薄れてきているように思う。
	
		さっきのパズドラとか、最近なら艦これとか。
	

		「課金させるならエロい美少女!」というソシャゲの基本戦略は
	
		「艦隊これくしょん」においても功を奏していると言わざるを得ない。グッズ展開も好調だ。
	
		しかしまあ、「島風」のデザインったらもう、あざといあざとい。
	
		金髪、M字バング、ジト目、うさ耳、セーラー、貧乳、脇、ヘソ、ヒモパン、ボーダーニーソ、兵器……属性多すぎ。
	
		犬山猫:
	
		パッケージも無くなりはしないと思うけど
	
		昔のような爆売れはほとんどしなくなってるし先細りしてる。
	
		やっぱり「基本無料」の浸食力は強い。
	
		天馬:
	
		無料か……音楽業界も同じだ。
	
		今は音楽もネットで聴けちゃうからね。
	
		「ファンです!Youtube見てます!」って方にも会うけど、
	
		そこはやっぱり、CD買ってほしい(笑)
	
		※犬山猫はアーバンギャルドのCD買ってますよ!
	
		最初の最初のインディーズ時代から!
	
		犬山猫:
	
		CDなかなか売れないもんね……
	
		ゲームと音楽だけじゃなくて、出版とかテレビとか
	
		コンテンツ系の産業は軒並み衰弱してる。
	
		天馬:
	
		バンドブームがあった90年代の頃は
	
		みんな、カラオケで歌う歌を覚えるために
	
		CDを買ったりレンタルしてたわけだし
	
		一種のコミュニケーションツールだったわけだよね。
	

		ユニコーン(左)や、ザ・ブルーハーツ(右)などロックバンドの活躍は
	
		後のヴィジュアル系やメロコアなど様々なロックの系譜に影響を与えたとも言われる。
	
		犬山猫:
	
		昔はそれほどファンじゃなくても
	
		みんなが買ってるからみたいなノリで買う風潮もあったけど
	
		今や音楽CDって、完全にファンのためのファンアイテムになってるよね。
	
		天馬:
	
		僕はCDはフライヤーだと思ってる。
	
		CDを買って下さったファンの方が、ライブに来て
	
		グッズを買ってくれたり……って繋がりで活動が続けられる。
	
		犬山猫:
	
		グッズ、すごく増えたよね!
	
		ブランドとコラボしてるのもあるし。
	
		「水玉模様」はアーバンギャルドのアイコンであるが
	
		原典として、草間彌生のアート作品や、ポップロックそのもののアイコンがある。
	
		以前、松永天馬は「草間の作品に勢いがあるのは彼女が処女だからだ」と語っていた。
	
		赤と白の水玉の持つ少女の力は病的に増殖する。
	
		天馬:
	
		アーバンギャルドのファンは、音楽だけが好きってわけじゃなく
	
		アートやファッションにも興味のある方が多いから。
	
		そもそも僕自身が音楽畑の人間じゃないし、演劇や朗読や映画を経て、たまたま今は音楽ってだけで。
	
		ミスチルみたいな音楽一本推しな、ロキノン系なバンドだったら
	
		(ファン数が)同じくらいの規模でも、ここまでのグッズ展開は出来ないと思う。
	
		※ロキノン系とは、月刊雑誌「ROCKIN'ON」または「ROCKIN'ON JAPAN」に載る系統のミュージシャン。
	
		メディアへの露出が少なく、ストイックに音楽活動だけをやっている傾向が強い。
	
		天馬:
	
		そういえば、(犬山猫の)その猫の指輪はツモリチサト?
	
		街でもよく見かけるんだけど。
	
		犬山猫:
	
		あ、コレはネ・ネットの「にゃー」だね。
	
		天馬くんもフランスでネ・ネットのTシャツ着てたよね?
	
		Facebookでみたよ(笑)
	
		天馬:
	
		たけださん(キノコのキャラ)ね。
	
		よく、(プレゼントに)いただくんです。
	

		犬山猫着用モデルのにゃーリング(左)と
	
		天馬着用モデルのたけださんTシャツ(右)
	
		……だから、なんだ。
	
			※犬山猫からの無駄知識:
		
			ネ・ネットのイメージモデルをしているのは「あまちゃん」で大ブレイクした能年玲奈。
		
			彼女もまたアーバンギャルドのファンを公言する「アーバンギャル」なのである。
		
			アーバンギャルドすげえ!
	
		犬山猫:
	
		ネットで大概の情報は得られるし
	
		友達の近況も解っちゃうからね。
	
		天馬:
	
		インターネットは完全に新しいエンタメになった。
	
		以前はオタクとか、いわゆる非リアのためのメディアだったけど
	
		今は、共感や共有をする場になってる。
	
		犬山猫:
	
		ニコニコ動画のコメントとか、いいね!の文化だよね。
	
		認められたかったり、皆と同じものを見たり聞いたりしたいっていう。
	
		天馬:
	
		そう、そういうの。
	
		ニコニコ動画って今でも流行ってるの?
	
		犬山猫:
	
		今でも勢いはあると思う。
	
		いわゆる生主出身の芸能人もいるし。
	
		きゃりーぱみゅぱみゅとか。
	
		アーバンギャルドが招待される前年、
	
		2012年に、きゃりーぱみゅぱみゅもジャパンエキスポに招待されている。
	
		アーバンギャルドは日本が誇るポストきゃりーぱみゅぱみゅ……かもしれない!
	
		天馬:
	
		えっそうなんだ!?
	
		そういえば、ちょっとだけやっていたような……
	
		生主とか実況とかしてるのって、本当に有象無象でたくさんいるけど
	
		その正体って、地方の学生(若者)だったりするよね。
	
		今の若い子達がカラオケで歌うのは初音ミクだっていうし。
	
		犬山猫:
	
		言葉は悪いけど、要は自己顕示欲なんだと思う。
	
		僕や天馬くんは自分を発信する手段として、演劇や詩の朗読とかの表現を選んだけど
	
		生主とか、実況とか、やってみた、の類は
	
		今のインターネット時代だから気軽にできる自己発信の手段だよね。
	
		ソサペドを実況して下さってる奇特な方もいらっしゃってありがたい限り。
	
		みんな、どんどん実況して!
	
		天馬:
	
		インターネットの普及は、ひきこもりを減らしたね。
	
		エヴァ以降は、アニメとかマンガっていう、元々非リアのものとされてた
	
		コンテンツも非リアのものではなくなってきてて、愛好者も非リアでなくなってきてる。
	
		ネット上で、好きなコンテンツを共有して共感して
	
		それをリアルの場でも感じるためにオフ会や野外フェスにも参加する。
	
		犬山猫:
	
		そうそう、最近はオタクなのにリア充って存在が出てきてる。
	
		天馬:
	
		上坂すみれちゃんみたいなね。
	
		※上坂すみれ:声優・タレント
	
		「ロリータは装甲!」などの発言が示すように
	
		彼女もまた女の子戦線に立つアーバンギャルなのである。
	
		(ていうか、顔の大きさの差)
	
		犬山猫:
	
		前に、ゲーム音楽やアニソンをDJが流すクラブイベント(アニクラ)に行ったことがあるんだけど
	
		イケメンや美女がコスプレでフロアにいっぱいいてさ、
	
		大音量の中で酒飲みながらはしゃぎあってて、まさにリア充だったんですよ。リア充大爆発ですよ。
	
		イベント自体は楽しかったけど、正直、率直に、僕はあのリア充の輪の中には入って行かれない!!
	
		って肩身の狭い思いをしたなあ。あんなに気軽に知らない人や女の子に僕は話しかけられない。
	もう、どうしたらいいんだ……。



	オタクイベントのオサレ化・リア充化が止まらない!!
	天馬:
	オタクもリア充になってきてるなら
	今の時代、真の非リアって、犬山猫くんはどんな層だと思う?
	犬山猫:
	う~ん。
	経済的に余裕のない、既婚者は?
	配偶者や家庭や仕事や子育てに粉骨砕身して、
	自分の自由は限りなく縮小されて……いや、それもリアルの充実なの……かな……
	(当然、家庭を持つことは幸せです!)
	天馬:
	お、おう……
	(以降、世知辛い話になってきたので割愛)
	    ※犬山猫のひとりごと
		 ダラダラと雑談的な内容でしたが、お読みいただきありがとうございました。
	
		 文学系のミュージシャンと文学系のゲームクリエイターとで
	
		 それぞれの自分の業界を、どうとらえているのかを、率直に語り合ってみました。
	
		 少しでも、お楽しみいただけたり、2人の作品に少しでも興味を持っていただければ幸いです。
		第2回 -無料の神々 導かれし非リア達 そしてリア充へ-
	
		 -了-
	
			※この記事は、松永天馬氏との対談を元に読み物として再構成したものです。
		
			(話題はそのままに、ちょっと盛ったり並び替えたり……) 
		
			全面的な文責は当サイト管理人・広瀬犬山猫にあります。
	
		前衛都市の普遍的なコンセプトと最新の少女の病気を松永天馬がズバリと語る。
	
		あと、オマケ。
	
		処女と童貞だけが魔法を使えるRPG
	
		アーバンギャルドもエンディングテーマで堂々参戦!
	
		「ソーサリーペドファイル」のダウンロードはこちらから。
	
		アーバンギャルド初のベストアルバム
	
		病んだかな?と思ったら……聴いて下さい! 
	
		「恋と革命とアーバンギャルド」好評発売中!
	

                
